「もうこんな年なのに」
「50代にもなって、まだ人間関係に悩んでいるなんて」
そんなふうに、自分の年齢を理由に、悩んでいることを恥ずかしいことや情けないことだと思っていませんか?
「今さら変わるなんて無理」
「もう仕方がない」
そんなふうに、諦めてしまってはいないでしょうか。
でも私は、40代、50代、60代だからこそ、自分の心と向き合うことには大きな意味があると思っています。
今日は、先日ご相談をお受けした方のお話をきっかけに、なぜ私が「40代からこそ、心と向き合ってほしい」と思っているのかについて、お話ししたいと思います。
その前に、少しだけ私自身のことをお話しさせてください。
私自身も、人間関係に悩んできました
その前に、少しだけ私自身のことをお話しします。私は今55歳。心理の世界に入ってから、もう15年近くになります。でも、もともと人間関係が得意だったわけではありません。
子どもの頃には仲間外れにされた経験もありましたし、中学生や高校生の頃も、友人関係で悩むことがありました。
ただ、「どうにもうまくいかない」「何かわからないけれど失敗ばかりする」「周りの人となんだか違う」と、強く感じるようになったのは、就職して初めて「先輩」という存在ができた頃だったように思います。
私は新卒で銀行に就職しました。当時の銀行は、今とは違ってほとんどが手作業。仕事そのものがとても大変でした。もともと私は、少しぼーっとしていて(笑)、正確さを求められる仕事があまり得意ではありませんでした。
仕事が自分に向いていなかったことに加えて、先輩との人間関係もうまくいかず、「どうして私は、こんなにうまくできないんだろう」と、いつも悩んでいたように思います。
それでも、若かった私は、お酒を飲んだり、友達と遊んだり、目の前の楽しいことに夢中になったりしながら、なんとか毎日を過ごしていました。
今振り返ると、若い頃は「この先の人生がまだまだ長い」という感覚があったからこそ、目の前の悩みを、他の楽しみで紛らわせることもできたのだと思います。
そして私は、ここに「若い頃の悩み」と「40代以降の悩み」の大きな違いがあるように感じています。
若い頃の悩みと、40代からの悩みは少し違います
いわゆる青年期といわれる時代は、まだまだ未来がずっと先まで続いている、人生の終わりなんてはるか彼方にあって、自分がいつか死ぬこと、人生がいつか終わりを迎えること、そんなことを真剣に考えることはあまりありません。
それは例えるならば、今歩いている道路の行きつく先が、ゴールがまったく見えない状態だと思ってもらったらいいと思います。単純に言えば、この道はまだまだ永遠に続いていくという感覚の方が強い時期だということです。
もちろんだからこそ、若いころは『いつまでこの道が続くんだろう・・・』とうんざりしたり、その果てしなさに嫌になったりすることもあるわけですが。
ですが中年期になると自分の身体の衰え、身体機能だけではなく頭の衰え、物覚えが悪くなったり、考えがまとまらなくなってきたり、昔ならさっさとできた仕事に何倍も時間がかかるようになったり、と様々な衰えを自分に感じるようになっていきます。
加えて親の老化や介護、周りの人が病気になったり、あるいは亡くなったり、そうしたことを目にしているうちに嫌でも『人生の終わり』を意識するようになっていきます。
いつまでも続くかのように見えていた道の先が、ぼんやりと・・・でも少しずつはっきりと終わりが見え始めてくるのです。それが中年期の心に起きることです。
そして多くの人は思うのです。
わたしの人生ってこのままで良いんだろうか・・・?と
「このままの人生でいいの?」と思うとき
少し前に流行ったShall we ダンス?という映画はご存じでしょうか?
役所広司演じる主人公が、家族とも平和に幸せに暮らして、マイホームも建てて、仕事でも評価されて、なにも人生に不満はない・・・はずなのに、何か心に穴が空いているような、まじめに生きてそれでいいと思っているのに何か心にむなしさを抱えている
そんな時、美しい女性がビルの窓にたたずんでいるのを見るわけです。そしてその女性がいたのがダンス教室で、そこから主人公はダンスに夢中になっていく、というお話です。(ざっとまとめましたが)
まさにこの主人公に起きていたこと、心の動きこそミッドライフクライシス・中年の危機で、心理学でもユングやヴィンソンなど、発達心理学の中で唱えられているものです。
ユングは、一貫したライフサイクルという概念を生み出し、特に、人生の後半における成人の発達に着目した。ユングは、人間の一生を太陽の運行になぞらえ、40歳前後を「人生の正午」と呼び、40歳前後を頂点として、人生を前半と後半に区分した。前半期の心の発達が、職業を得て社会に根づくことや、家庭を築くことなど、外的世界へ自己を適応させていくことであったのに対して、人生後半期の発達は、自己の内的欲求や本来の自分の姿を見出し、それを実現させていくことによって達成されると考えた[5]。
wikipediaより引用
40代からこそ、自分の人生と向き合うチャンス
つまり。40代から60代になった私たちが、自分の人生はこのままで良いんだろうか?と悩むことは、発達心理学から見ても自然なことだということ。
がむしゃらに走り続けることが出来た若いころとは違い、体力の衰えや頑張ることでごまかしがきかなくなったこの年だからこそ、あらためてゆっくりと自分の人生と向き合うことが出来るということなんです。
いつまでも続くかのように見えていた人生の長い道に、遠くにゴールが見えてきた・・・、無限にあるように思えた時間に限りがある、その感覚が出てきたからこそ、自分の今の足元からあのゴールまでの道をどうやって生きていこうか、そんなことを考えるチャンスだということです。

私たちはいつまでも生き続けることは出来ません。誰にでも等しく必ず死はおとずれます。今を大事に生きるためには、命に限りがあることを知ってこそ、命や時間を大事にすることが出来ると私は思っています。
だからこそ。40代から60代(それ以上でももちろんですが)の方こそ、私はご自身の心と向き合って、人生を振り返りながら足元を見直していくチャンスたいむだと思っているのです。
最初にお話ししたように、わたしも41歳の頃に心理学を知り、そこから長い間時間をかけて勉強したり、セラピストとして沢山のクライアントさんにセラピーを提供してくる中で、心を成長させてくることが出来た実感があります。本当に心理学をやってきて良かったなぁと思っています。
だからもし、この記事を読んでくれているあなたが、『もうこんな年なのに』『50歳にもなって今更・・・』と思っているなら、そんなことは思わないでほしいなと思います。
実際、Natureに来て下さるクライアントさんのほとんどは、40代後半から60代のかたです。そして、皆さん、セッションや講座を通して若く(笑)元気になっていっています。それは、自分の人生を受容する感覚が得られて、心の底から生きててよかったと体の中から命の力を感じられるようになるからだと思っています。
でも。ここでひとつお伝えしたい大事なことは、「心と向き合う」とは、過去を掘り返して苦しくなることではないということ。
①今まで頑張ってきた自分を知る
②今の苦しさの理由を知る
③本当はどう生きたいのかを考える
④これからの人生で、自分が大切にしたいものを選び直す
これが『心と向き合う』という意味です。苦しい思いをするのではなく、今から未来を楽に幸せにするために、過去と向き合う、それが心と向き合うということです。だから心配しすぎないでほしいなと思います。
最後は熱くなってしまいましたが、カウンセリングを今更・・・と思っているかもしれない方に向けて、今日は書いてみました。この記事が、迷っているあなたの背中をおすきっかけになればとても嬉しいです。

