家庭内いじめが起こすトラウマ

こんにちは。

大阪・河内長野で、自己否定を自己肯定に変えて、人生を生きやすくするお手伝いをしています心理カウンセラーの喜多村純子です。

今日は家庭内いじめについてのお話です。家庭内いじめって、なかなかハードな言葉なのでドキッとされる方もいるかもしれませんが、実は珍しい事ではありません。ちなみに、私が今回定義している家庭内いじめとは、特定の子供だけを差別する扱いのことを意味しています。

例えば、兄だけは可愛がられて、女の子の自分は無視されていたとか、妹だけは可愛がられていたのに長女の自分だけは母親からずっと嫌われていた、などです。

このケースはカウンセリングの場面では非常に多いケースで、何度も聞くだけで胸が痛くなるようなお話も沢山私は聞いてきました。幼少期の家庭内でのいじめの経験は学校や会社などでのいじめと同様に許されないことなのですが、家庭内で、しかも親子間で起きている為、それをいじめだったのだと認識するのが難しい側面があります。

自分自身が親にされていた事を、家庭内いじめだったのだと認識できないまま大人になっているので、ずっと人に怯え周りの目を気にして理由のわからない不安と恐怖を抱えて生きているという人が多いのです。

そこで今回は、家庭内いじめの正体と、その影響で今も対人恐怖や自己否定の悩みに苦しんでいる方の為に、その苦しい闇を抜けるヒントと問題解決の方法をお伝えしたいと思います。

家庭内いじめの実態

では改めて、家庭内いじめとはどんなものを指すのでしょうか。

私はセラピストとしてこれまで1000人以上の方のカウンセリングや心理セラピーをしてきましたが、家庭内いじめを受けてきた方達に多かったのはこのような例でした。

例えば

  • 母親が弟と妹だけを可愛がり、長女だけは陰気だとかじめじめしてると言って蔑む
  • 妹だけは買い物に連れていき、長女の自分だけはいつも留守番をさせられた
  • 跡取りの長男だけを可愛がり、長女の娘には塾にも行かせず大学にも行かせなかった
  • 兄弟げんかをすると、必ず長女だけを怒り、正当な言い分を一切聞いてもらえなかった
  • 他の兄弟と親が一緒になって特定の子供だけバカにしたり意地悪や仲間外れをする
  • 姉妹は何もしない事を許されて、長女の自分だけはお手伝いを強要された
  • いつも長女の自分にだけ母親が愚痴を聞かせていた

などなどです。

これらはあくまでも私が扱ってきたカウンセリングの中での事例の一部ですが、実際にはここには書けないようなレベルのひどい扱いを受けてきたというサバイバーのケースもありました。

なぜ家庭内いじめは起きるのか

ではなぜ、家庭内でいじめが起きるのでしょうか。

これは社会や学校で起きるいじめと原型は同じです。不満や怒りを抱えている人が、その不満や怒りを誰かにぶつけることでスッキリしたい、ストレスを発散したい、弱いものをいじめてスッキリしたいと思っている誰かが家庭の中にいる時に起きるのです。

だから、家庭内いじめをしている親は明確な意図をもって特定の子供に意地悪しているのです。家の中で特定の子供をいじめる親は、必ずそのターゲットとした子供にいじめをする目的を持っているのです。

その一番大きな目的はストレス発散です。

その本当の目的をすり替える為に、あるいは本当の目的には気付いていないので、すり替えた色々な理由を子供にぶつけることが多いのです。

  • 長女は浮気をした夫の顔に似ているから憎い
  • 長女は大嫌いな姑に可愛がられているから憎い
  • 長女は自分よりも優秀だから妬ましい(でも勉強が出来ないのも許せない)
  • 息子は可愛く近づいてくるから可愛いが、娘は自分になつかないから可愛くない
  • 本当は子供なんて欲しくなかったのに出来たから産んだ
  • ただ見ているだけで腹が立つ

など、一見文章としてはこれらの言葉は理由が成立しているように見える言葉を使うため、言われた子供は自分が悪いからこんな目にあっているんだと思うようになるのです。

私が悪いからお母さんやお父さんに嫌われているんだと思うようになるのです。だから、家庭内いじめにあってきた人は、理由がわからない強い罪悪感を持つ事も特徴です。

口癖のように「すいません」「ごめんなさい」と悪くなくても言ってしまったり、何か起きると自分が悪いからかも、自分のせいかもと思いやすいなどですね。私もこの癖が長く残っていたので、罪悪感と言うものの根の深さは非常によく分かるところです。

だからこうした体験をしてきた人たちは、私は人から嫌われるという認知を持つようになり、大人になった後も友人関係や職場など、様々な人間関係の中で対人恐怖の症状で苦しむようになりやすいのです。

でもそれはあなたの性格の問題ではなく、幼少期の親子関係があなたにとってトラウマになっているからなのです。

いじめをする人の心の闇

よだんながら、家庭というのはある意味特殊な密室です。親と言う権力者が支配する絶対の場所です。外の世界では人に良い顔をして嫌われないように気を使っている父親や母親も、家庭の中で、特に子供の前では傍若無人な態度を平気で見せがちです。その理由は、親は自分が子供に対して絶対的に力を持っていること、子供に対して自分の立場が圧倒的に強いことを知っているからです。

学校や職場でのいじめでもそうですが、いじめる側の人間は相手に対して自分が強い立場である事を知っている時にいじめを行います。平たく言えば、自分よりも弱い相手にいじめをする、のが常です。

その理屈は家庭内いじめにおいても同じです。

  • この子は私には逆らわない
  • この子には何をしても許される
  • この子は私が何をしても受け入れてくれる
  • この子は私が何をしても夫や周りに言いつけたりしない

など、いじめをしても大丈夫だと思っているから子供にストレスをぶつけるのです。子供が自分に逆らわないこと、子供が自分を見捨てない事を知った上で親は子供に家庭内いじめをするのです。

そうして子供をいじめたりサンドバッグのように粗末に扱う事によって、夫に対する不満や会社の中であった嫌な出来事に対する鬱憤、姑との間で感じている不満をはらす事によって親は自分の心のバランスを取っているのです。

本当は親自身の劣等感自己否定からくる心理的ストレスが原因だということなのです。

家庭内いじめが起こす対人恐怖の問題

しかし先ほども書きましたが、長い間家庭内でいじめられて来た人達は自分に原因があるという強い罪悪感を抱えています。自分が悪いから自分が頑張らなかったからダメだったのだと言う罪悪感です。

この罪悪感が強い人は、大人になってからも人間関係や仕事でも自分を犠牲にすることが癖になりやすく

  • 人のごみ箱(ストレスのはけ口)をしがち
  • 不当な扱いを受けても拒否できない
  • 怒りの表現が苦手
  • 自分を大事にすることを後回しにしがち
  • 職場や人間関係で損な役回りになりやすい
  • 人に利用されやすい

などの問題を抱えやすくなります。

その結果、人と関わると嫌な目に合う、しんどい事ばかり、損する事ばかり、自分はぜんぜん大事にされないという不満や怒りが溜まりやすくなり、結果的に人間嫌いになったり人を避けるようになったり、ひどい場合は鬱やひきこもりになってしまったりするのです。

それは、健全な人間関係を学んでいないからです。

どういう関係性が健全なのか、家庭でなにも学べないまま社会に出てしまったので、心の中にその健全な関係のモデルケースが出来ていない状態だからです。

社会に出てから友人や会社の人達との間で、健全な人間関係を学べたという人はラッキーですが、幼少期の家庭環境でのトラウマを抱えたままの人にとってはそれは簡単な事ではありません。

  • 人に近づくと傷つけられる
  • 言いたい事を言ったら嫌われる
  • 親密になって本当の自分を知られたら嫌われる
  • 仲良くなる為には自分を消さないといけない

こんな思い込みを持ったままでは健全な心地よい人間関係を作るのが難しくなるのは当たり前だからです。

だから、家庭内いじめにあってきた人たちに必要なことは、まずは自分が本来なら一番愛されたい相手に嫌われ、守られるべき相手に傷つけられ、安心安全であるべき家庭が戦場だったという辛い事実と向き合うことなのです。

解決に向けて

家庭内いじめは幼少期の体験ですが、ただ単に子供時代の思い出で済ましてはいけないトラウマを残す体験です。

もう大人になったから関係ない、気にしていない、と言ってごまかして生きている人もいるかもしれませんが、幼少期の感覚や記憶は、深い心の奥底にしまわれている状態にしてあるだけなので消えてはいません。

普段は平気で生活していられても、人生に何か大きな出来事が起きた時に、そのパンドラの箱は開いてしまい一気に恐怖や不安が吹き出すということも少なくありません。

だから、多くの人は恋人と別れたり、仕事を失ったり、離婚をしたり、そうした人生に大きな衝撃を起こす出来事が起きた時にこのトラウマが発火装置となってあなたにパニックをもたらし、生きているのが嫌になり死にたくなったり、鬱になったり引きこもりになったりしてしまうのです。

そうなる前に。小さな気付きの段階から自分と向き合う事が大事なのです。

余談ながら私の話をさせて頂くと、私はずっと親とは良好な関係を築いてきたと思っていました。両親は仲良しで家庭は平和で、ありのままの自分を愛されているとまでは思っていなかったですが、まあまあ普通に幸せな家庭で育ってきたと・・・この心理の世界に入るまでは思っていました。

でも、本当は問題は山ありでした。私は自分だけは大学に行かせてもらえなかったですし、就職も自由には選ぶことが出来ませんでした。親のぐちを聞き、ずっと良い子をしながら家の中ではずっとバカな子扱いをされてきた、ピエロのような人生を生きてきました。

でも、そんな山盛りの問題に気付けないのが家庭内の問題の特徴なんです。

だから最初に必要なことが気付くことなのです。

  • 自分の家庭に存在していたかもしれない問題に気付くこと
  • 自分の人間関係の築き方に起きているかもしれない問題に気付くこと

例えて言うと心理学の知識を使って、自分で自分の人生を人間ドックにかけるイメージです。ここに腫瘍があったのか、とか、ここに血管のつまりがあったから時々心臓が苦しくなったんだ・・・みたいに

本当は感じている不具合がどんな原因と紐づいているのか、繋げられるようになる技術が心理学の知識です。だから、心理学を学べばどんどん自分で自分の問題を解決していけるようになっていくのです。

これはホントにパズルを解くようでとても楽しいんです。

自分の性格だと諦めていたものが本当は認知のゆがみから起きていたことや、歪んだ親子関係に起因していたことなどが心理を学ぶことで腑に落ちると、不要な罪悪感はどんどん手放していけますし、何よりも自分自身を知っていく作業は苦しいだけではなく楽しいものだからです。

だって幸せになるため学ぶが心理学なのですから。

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