今日のコラムでは、愚痴や悪口が脳に与えるストレスについてお話していきます。
いつも人の愚痴の聞き役になってしまう、人の悪口を聞かされやすい、そんな悩みを抱えている方に、その役割を降りた方が良い理由について、わかりやすく解説していきます。
気付いたら人の愚痴の聞き役になっている人へ
例えばあなたにはこんな経験はないでしょうか。
こういう人達は聞き疲れになりやすく、対人関係に疲れを感じることが多くなって、対人関係そのものを避けたくなるという人も多いのです。
そもそも人の愚痴を聞くというのは、聞いている間になぜか自分もしんどくなるもの。家族だから、友人だから、同僚だから、と我慢して聞いてあげてしまうのはあなたの優しさゆえかもしれませんが、人の愚痴を聞くというのは、ただ疲れてしまうというだけではなく、脳にストレスを与える現実的なダメージを与えるとも言われています。
愚痴や悪口が脳に与えるストレス
では、具体的に愚痴や悪口を聞くことがどんなストレスを脳に与えるのでしょうか。
その前に、まずは脳の特性として。脳には頭に入ってくる言葉を、相手のものか自分のものかの区別がつかない特性があると言われています。
あなたにも、自分とは関係ない他の人の悪口やぐちを話を聞いていても、まるで自分に起きた出来事のように一緒にイライラしたり、無力感が残ったりする・・・そんな経験はないでしょうか?
これは脳の特性によって起きているもの。
脳は悪口や愚痴といった言葉を、「自分に向けられている攻撃」と誤認して、脳の中にある扁桃体(不安や恐れに関連する脳の部位)が刺激される事で、自分には関係のない愚痴の話や悪口であっても、その中にさらされ続ける事で脳が危険にさらされている状態が続いていると判断するために、愚痴の話を聞き終わるとどっと疲れたり、感情が不安定になったりするということが起きてしまうのです。

面前DV(家庭内で夫婦喧嘩を見てきた方たち)が、親から直接殴られたり、暴言を吐かれたりしていなくても、ただ喧嘩を見ているだけでも、親のぐちを聞いているだけでも、深刻な複雑性PTSDを引き起こすのはこうした脳の作用によるものとされているそうです。
それぐらい人の悪口を聞くことや愚痴を聞くことは、脳疲労を起こす良くないことなのです。
なぜ愚痴の聞き役をやめられないのか?
じゃあもう、愚痴なんて聞くのはやめよう!あなたはそんな風に決意するかもしれませんね。
もしかしたら、何度も「もう愚痴の聞き役なんてやめよう」と決意したことがあったかもしれません。
それでも、なぜか聞き続けてしまう・・・。だからこの記事を読んで下さっているのではないかと思います。
そこでここからは、なぜ人の愚痴を聞いたり、悪口を聞く役をやめることが出来ないのか・・・?
悪口や愚痴を言う人側の心理を紐解きながら解説していきたいと思います。
愚痴や悪口を言い続ける人の心理
悪口や愚痴を言い続ける人の心とは、いったいどのような状態なのでしょうか。
実は、悪口を言う行為は快楽物質と言われるドーパミンを放出すると言われていて、悪口や愚痴を言っている時、人は楽しい気持ちを感じていることが多いと言われています。
だから、愚痴や悪口をずっと言い続けている人は、楽しいからやめられないのです。なんとも単純です。
ですが、悪口も愚痴も相手がいなければ盛り上がれないものです。ひとりでは愚痴や悪口を言っていても、楽しくはなれないですよね。ただの独り言になってしまいます。
悪口も愚痴も聞いてくれる相手がいるからこそ楽しいのです。
つまり・・・愚痴や悪口を言い続ける人には楽しさや興奮を感じられるメリットがあるから、愚痴や悪口を言う事がやめられないわけですが、そのためには聞き役が必要になるというわけです。
そうです・・・。これが愚痴を聞いてあげているあなたのメリットなのです。
あなたが無意識に持っているメリットとは、相手を良い気持ちにさせることが出来ている、そのおかげで自分への攻撃は避けられている、表面的には平和に過ごせているように感じられている・・・
これが愚痴や悪口を聞き続けてしまう人のメリットであることが多いのです。
ストレスは意識しないと気付けないもの
しかし。先ほども書きましたが、愚痴や悪口を聞き続けるということは、自分には関係のない人の話であったとしても、聞いているあなたの脳にはストレスがかかっています。
仮にその瞬間、その場面では平和に時間をやり過ごせたように感じても、見えない所であなたはダメージを負っているはずなのです。例えば、一緒にご飯を食べて楽しかったはずなのに、なんか疲れたなぁと、家に帰ったらぐったりしていたみたいな。後味に疲労感が残るという経験をしているのではないかと思います。
それこそが脳疲労が起きている証拠。あなたの脳にストレスがおき、脳にダメージを負った証拠なのです。

解決していくために
会話の中で多少の愚痴や悪口はスパイスになりますし、愚痴を言ってもりあがる、そんな時もあって良いと思います。たまったストレスを放出する為には、時には悪口を言ったり、愚痴を言ったりすることが必要な時だってあるでしょう。
ただ、愚痴や悪口を一方的にぶつけられる状態(一方的に聞くだけの状態)は、どうでしょうか。果たして本当にフィフティフィフティと言えるでしょうか。わたしはそこが大きな問題かなと思っています。
人間、生きていたら嫌な事もありますし、愚痴や悪口を言いたくなることはあるものです。
吐き出させてもらったら楽になる、そういうこともあるでしょう。
だからこそ聞いてくれる人に対しては、相手への感謝を忘れないこと、そしてあまり長く話し続けない配慮をすることが大事だと思うのです。
そして聞いてしまいすぎるあなたは、ストレスを感じたらそっとその話を終わらせること、聞き続けないように気を付けること、それは自分の脳を守るためですので大事なことだということを覚えていて欲しいのです。
もし仮に、愚痴を聞き過ぎてしまう、相手の話を止められないとか、聞いてあげないと悪い気がする、などの気持ちがわいてきてしまうとしたら、多分そこはあなたの心理的な弱点(ウィークポイント)なのかもしれません。
お母さんの愚痴や不満を聞いてあげてきたという方や、不安定な家族の中でバランサーをしてきた人に多い特徴のひとつ。子供の頃に身につけた防衛反応が起こしていること、優しい人に多い特徴なのです。
その場合は、なぜ話を止められないのか、良い顔をし過ぎてしまうのか、あなたが心の中で感じている不安を認めてあげて優しく癒してあげること。そうすれば、自分を疲れさせてまで相手にあわせ続けることはなくなっていきます。
人はいつからでも自分の生き方や人間関係の作り方をかえていけます。
あなたの優しさで心が疲れてしまわないように、自分を大事にする方法を身につけてあげてくださいね。
もう愚痴や悪口を聞き続ける関係をやめたいと思ったら、こちらからご相談ください💗



