心の境界線(心理的境界線)を守る方法

先週末、3回連続セミナーの最終回を無事に開催させて頂きました。ZOOMから参加いただいた方も含めて、10名さま満席で開催させて頂くことが出来ました。ありがとうございました!

心理的境界線は多くの人が悩みやすい人間関係の問題とからみやすく、今回も受講して頂いた皆さまから色んなご質問をいただき、改めて大事なテーマだなと思いましたのでコラムにまとめてみました。

心理的境界線とは

心理的境界線とはバウンダリーとも言いますが、心理学を学ばれた人なら一度は聞いたことがあるかもしれないメジャーな言葉ですが、実はさまざまな種類があるということはあまり知られていません。

境界線とは文字通り、自分と相手(世界)を隔てるもの。自分の輪郭を作るもの、自分とは何か?を明確にするものであり、外からの侵入を防ぐためのものです。

種類としては、身体の境界、パーソナルスペースの境界(不快だと感じる人との距離)、持ち物の境界(誰の持ち物か)、責任の境界、思考の境界、などがあるとされています。

境界線とは、自分と世界の間に作る自分を守るための壁のようなもの

私たちが当たり前に感じている、自分の持ち物を勝手に触られたり、自宅の引き出しや冷蔵庫を他人に触られた時に不快を感じるのは、自分の境界線を侵入されていると感じているからということです。

ものは見えますし所属もはっきりしていますから、人は比較的「物質的な所有に関する境界線」は守りやすいのですが、いかんせん・・・心は見えませんし、境界は非常にあいまいです。だから多くの人は、自分がどこまで権利を主張できるのか、境界線を主張できるのか迷いやすくなるのです。

心理的境界線の問題を抱えている人の特徴

心理的境界線は目には見えないものですし、どこまでが主張が許されるのかあいまいになりがちです。
特に幼少期から自分の権利(人としての尊厳を守る為の権利や、自分を主張する権利)を奪われてきた人たちは、自分が権利を主張して良いのだということを学んでいません。

そのため必要な時に必要な主張をすることが出来ず、境界線を守ることが出来なくなってしまい様々な生きづらさを抱えやすくなっていきます。境界線の問題を抱えている人たちに起きやすい特徴は下記の通りです。

境界線を守れていない人の特徴

  • 自分の中の怒りや負の感情を外に吐き出せない
  • 相手の感情を傷つけたくない(罪悪感が強い)
  • 見捨てられたくない、依存していたいが強く自分から境界線を引くことが出来ない
  • 自己否定が強いため、自分の意見を主張出来ない
  • 弱みを見せたら相手に支配されると感じている
  • 広く浅く人と繋がるが本音で繋がらないのでいざという時に孤独
  • 相手からの愛情を受け入れる事が苦手で、繋がる事を避けようとする
  • 嫌を言わせないように脅す
  • 相手の罪悪感をつかって嫌を言わせないようにコントロールする
  • 相手を愛することが出来ず、必要な責任を果たすことが出来ない

いかがでしょうか?

幾つかあてはまったものがある、という方はもしかしたら心理的境界線をうまく引けていない、心の課題を持っているのかもしれません。

ちなみにこの境界線は固定のものではなく、相手によって変化するものと言われています。親としての立場から子供に対しての場合と、妻として夫に対しての場合で対応が変わったり、家庭の中と職場の中で対応が変わるということは人間だれしもあることだと思います。

そのため、境界線の問題の出方も相手によって変化するということは良く起きるものだ、ということは覚えていて欲しいなと思います。

大阪1dayスライドより

境界線をひけない、境界線の問題が起きる原因

ではなぜ、境界線の問題は起きるのでしょうか。

これについては先ほども少し書きましたが、幼少期の親子関係に原因があることが多いとされています。
子供の頃に両親や周りの大人たちから、自分自身をどんな風に扱われてきたか?ということが
自分を守る為の境界線を育めるかどうかにかかっているからです。

そして家庭環境ももちろん、大きな影響を与えるとされています。安心できる環境であったか、両親が子供たちの存在を大切に思っていたか、争いのない穏やかな家庭環境だったか、そういった家庭が安心安全であったかどうかが子供が健全な心理的境界線を育めるかどうかに大きな影響を与えるとされています。

だから。もしあなたが人との間に境界線をひけない、いやなことをいやだと言えない、我慢し過ぎて相手を受け入れすぎてしまう、見捨てられることが怖くてしがみ付いてしまう・・・などの、境界線の問題を抱えていたとしても。それは、あなた自身が弱いからだとか人格や性格の問題ではないということを、しっかりと覚えていて欲しいなと思っています。

あなたが悪いわけではない、ということがとても重要なポイントです。

心理的境界線を育むために必要なこと

では、どうしたら自分を守る為の心理的境界線を育めるようになるのか・・・?
この記事を読んで下さっている皆さんはそれを一番知りたいのではないかなと思います。

心理的境界線を引けるようになるために最初に必要なことは

  1. 心の安心安全をつくる(自己受容をしていく)
  2. 良質で健全な人との繋がりをつくる
  3. 自分の気持ちを大事にしようと決める
  4. 他者の気持ちを尊重しようと決める

これが大事な順番です。

境界線をひけない人たちは人との繋がりの問題を抱えていることがほとんどです。

  • 人と安心して繋がる感覚がわからない
  • 自分を尊重する感覚がわからない
  • 心の中に見えない孤独を抱えている

などです。人との繋がりに安心感がなく、孤独感を抱えていることが境界線の問題を引き起こしてしまう一番の原因です。だから、この順序を間違えてしまうと、境界線を引かなくちゃ・・・!と頑張ったあとに、揺り戻しが来てしまったり、不安定になってしまったりすることがあるので、この順序はとても大事なのです。

まずは自己受容の感覚を育み、人への信頼を育み、世界への信頼を育む。そうすると自然に、不快なものに対する抵抗感がわかるようになり、自分の境界線を守ろうとする力が身体の中から出てくるようになります。

心理的境界線の再構築は一朝一夕で出来るものではありません。ゆっくりと自己信頼を育みながら、身体の中から神経レベルでの安心感を取り戻し、少しずつ引けるようになるものだということを覚えていて欲しいなと思います。

人と繋がるって楽しい!セミナー後の参加者さん達との懇親会にて

最後に

人はひとりでは生きていけない生き物です。人と繋がり、人との間で安心を感じ、そして愛を与えられ自分も他者に安心と愛を与えていく。相互の温かい繋がりこそ人が幸せに生きていく為に一番必要なものです。

孤独は人の心を病ませてしまうもの。それは、生き物として当たり前のことです。だから、あなたがもし、自分の孤独や不安をさけるために境界線の問題を抱えているとしても、それは生き物として当たり前の事だと自分に言ってあげてください。

そしてそのうえで、子供の頃から感じてきた寂しさや不安、孤独感を癒していってあげて欲しいのです。境界線がひけない自分をダメだなどと思う必要は全くありません。そうではなくて、自分に優しく労わりながら、心の傷をいやしていこう・・・そんな風に心理的境界線の問題と向き合って欲しいなと思います。

セミナー後に素敵なイルミネーションの前でパチリ。道行く人とお互いに撮りあいっこ。まさに協働調整!(笑)

人との繋がりを回復したい、身体からも心からも安心して生きられるようになりたい方には、安心安全の場所で自分との繋がり直しをしていくことがとても効果的です。Natureの講座では、受講生の皆さんが安心して学びを深めていけるような環境づくりを一番大切にしています。安心して学びに来てくださいね。

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