断れない人の心理と特徴|人間関係で振り回されないための解決法

今日のコラムではカウンセリングでも多いご相談でもある、「断れない」という悩みについてお話していきます。

人に頼まれると「NO」と言えず、つい引き受けてしまう・・・
後で疲れ切って「どうして断れなかったんだろう」と自分を責めてしまう・・・

あなたにはそんな経験はありませんか?

人に「NO」と言えないと悩んでいる人たちは、優しい人や、気配り上手な人が多く、それらが円満な人間関係を築くスキルとなっている方も少なくありません。ただ、「NO」を言わないことで築かれている人間関係には、大きなデメリットも同時に存在しやすいものです。

その一番大きなデメリットが、人間関係で振り回されやすくなるということ、そして心のストレスがどんどん溜まってしまうということです。人と仲良く円満につきあいたいからこそ我慢をしたり、優しくしたり、気配りをしているはずなのに、この状態が続くと様々な心理的なデメリットを生み出し、人間関係そのものを避けたくなってしまうというケースや、鬱や適応障害になってしまうというケースも少なくありません。

そこで今回この記事では

  • 断れない人の心理と特徴
  • 境界線をひけない原因
  • 今日からできる解決法

について、カウンセリングでの実例などを踏まえつつ、心理学の視点からわかりやすく解説していきたいと思います。ぜひ最後までお読みいただき「断れない自分」から抜け出して、人間関係を楽にするためのヒントを学んでくださいね。

「NO」と言えない、断れない人の特徴

では、改めて。人に「NO」が言えない人達が持ちやすい心の癖とはどんなものがあるでしょうか。いくつか特徴的なものをあげてみたいと思います。

  • 人に嫌われたくないという気持ちが強い
  • 人に良い人と見てもらいたい気持ちが強い
  • 責任感がとても強い
  • 自己犠牲的な考え方が強い
  • 自己主張を苦手と感じやすい

などが特徴としてあげられます。

どうでしょうか、あなたにも当てはまっているのではないでしょうか。ちなみに、私はこの5つはガッツリ持っていました。今でもまだこの5つの心の癖が出てしまったなと感じることはありますが、きちんと制御できるようになりました。(だからあなたも大丈夫。ぜひ安心して最後まで読んでくださいね)

断れない、NOと言えない人たちの心で起きていることと

これは私自身もそうでしたし、実際にカウンセリングをさせて頂いているクライアントさん達にも非常に多い傾向の一つとしてあげたいのは

そもそも「断って良いのだ」という考えそのものを持っていない

と言う人が多いということ。頼まれたら引き受けないといけないと思い込んでいるために、時間的、体力的に無理をしてでも引き受けてしまうという人も少なくないのです。
そういう人は「断って良いのだ」という考えを持っていないことと共に、自分の限界を分かっていないという人も多いものです。

自分の限界が分かっていないために、寝る間を削ればこの仕事は出来ると思ってひきうけたり、家の用事とパートの仕事の合間に友人の相談を聞く時間をねじ込んだり、

本当は自分の時間も体力もいっぱいになっているのに、その限界が分かっていないために(無理して頑張ればやれない訳じゃない、などと言って)引き受けすぎてしまうというケースも多いのです。

もちろん、そこには良い人でいたいとか、出来る人と見られたいなどの承認欲求などもありますが、その点だけに注目するよりも「自分が断って良いという認知を持っていない」ことに気付くことも大切です。

NOの伝え方はコミュニケーションの練習によって培われる

私たちは「話す」ことは当たり前に出来る事です。ですが、「話す」ことと「コミュニケーション」とは実は同じではないのです。

話すということは、子供の頃から自然に学び、日本語でしたらまあ日本人なら普通に話せるでしょう。親と話していなくてもテレビの音声、音楽の歌詞、学校での先生の言葉などから言語としては自然に学んでいけるからです。

ですが、コミュニケーションとなると、それは自然に出来るようになるものではないのです。コミュニケーションには相手の言葉とのキャッチボールが必要です。相手の話を聴く、そして、それに対して自分の意見を伝える、このやり取りの繰り返しがコミュニケーションの基本です。

そのコミュニケーションの原型は、子供は親との関りの中で学んでいきます。相手の意思を尊重する会話とはどういうものなのか、人の話を聞くとはどういうことなのか、親の姿を見て学び、親と同じようなコミュニケーション術を身に着けていきます。

もし、そのサンプルとなった親との会話がこんな形だと、子供はどんな風にコミュニケーションを学んでいくでしょうか。

  • 相手の話を聞かずに一方的に自分の話だけをする
  • 文句を言わずに「はい」だけ言っていたら機嫌が良い
  • 共感的な応答が一切なく、いつも否定的な言葉を返してくる
  • 自分が何かを言うと怒ったり、余計なことは言うなと怒鳴られる

こんな関りをベースにしていたら、子供は何も言わないことが安全だ、どうせ何を言ってもむだだ、黙っている方が平和だ、と言う風になっていきそうな気がしませんか?

これが、コミュニケーションの練習を出来なかった人たちのイメージなのです。だから、人にNOが言えない、断れないと感じている人たちは、それ以外の場面でも自分の言いたい事は言えない感覚を持ちやすく、人とのコミュニケーションでは「うなずきと笑顔とイエス」を会話のスキルにしてしまっているという人が多かったりするのです。

どうでしょうか?あなたもそうではないでしょうか。

今からでも遅くない

そんな皆さんにお話ししたいことがあるのですが、私は今、ある病気の治療のためにリウマチ科に通っているんですが、私が課題として与えられている「歩く」と言うことについてこんな話をしてくれました。

歩くことは当たり前じゃないんです。赤ちゃんは生まれつき歩けませんよね?練習して歩けるようになって、なんどもこけて練習して、6才ぐらいになるとこけずに走れるようになって、歩くことは当たり前に出来る事になっていく。能力は当たり前にそなわっているものではなくて、努力や練習で育てていくものなんですよ。ピアノの能力も歩く能力もおんなじなんです

だから。毎日少しずつでも練習しないと、歩くってどんどん難しくなっていくんですよ。

と。どうでしょうか?とてもわかりやすいと感じませんか?

今回、私は歩かないといけないのでこの話をして頂いたのですが、考え方としては、コミュニケーションの能力についても同じことが言えるなぁと思ったのです。練習しないとうまくならないという点が同じなのです。

でも、この考え方はとても素敵だと私は思っていまして。なにが素敵かと言えば、能力だと思えば・・・練習したらうまくなるって言う事。これからいくらでも伸ばして、変えていけるものだという事

だからもし今、あなたがコミュニケーションが苦手と感じて、断れないし人と話すのは苦手だと感じていたとしても、、練習していけばいくらでも能力を伸ばせるという事なんです。これを覚えていて欲しいなと思います。

解決していくために

最後に。

断れない、「NO」を言えないと感じやすい人には、子供の頃から良い子でいることや、迷惑をかけないこと、自分の気持ちよりも人の気持ちを優先することを求められてきた方が少なくありません。

母親が病気がちで妹のお世話をしてきた長女さんや、両親の不仲の中で母親のぐちを聞いてあげる母親の心理的な慰め役になってきた人など、家庭の中に可哀想に見える人がいたり、家の中が平和ではなかったためにずっと周囲の人に気を遣ってきた人など、自分の気持ちを表に出すことが出来なかった人がとても多いのです。

つまり、、無意識に自分の気持ちを相手に伝えることが怖い、と感じている可能性が高いということなのです。

そうした人達にとっては、「NO」と言えるようになることももちろん大事なことですが、その前に必要なこととしては、自分の気持ちを知っていくことそして幼少期の怖かった気持ちを小さくすることがまず大事になります。

自分の心を知る練習をして、きちんと自分の心が見えて理解できるようになってくると、「NO」を言いたい場面や、断りたい場面が明確になってくるようになります。そして、言いたいことを言うのが怖いんだな、という自分の気持ちにも自然に気付いていけるようになります。

「NO」を言うことは相手を拒絶するための言葉ではなく、相手と健全に付き合い続ける為に無理をしない、そのために使う言葉です。無理なことを無理と言うのは、あなた自身のためでもありますが、同時に相手との関係性を守るためや仕事などを続けていくために必要だから伝える言葉なのです。

その前提をふまえたうえで、あなたが「NO」を伝えて態度を変えてきたり、今まではやってくれていたのに・・・と不満を漏らすような相手であったなら、、、、それはあなたをひとりの人間として大切に扱っていない証です。
あなたが頑張って尽くす必要はない相手と思っても、良いかもしれませんよ。

今日の記事が「NO」を言えない、人の頼みを断れないと感じている方の心が軽くなるヒントになれば幸いです。

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